フィンランド生まれの「オープンダイアローグ」という精神療法をご存知でしょうか。 ダイアローグとは「対話」という意味であり、オープンダイアローグとは文字通り開かれた対話のこと。 従来は薬が必要だった統合失調症の治療に高い効果があることで、注目を集めています。 当研究所では、ジャズのセッションこそ対話の極致と考えます。「対話」とは、双方、変更の柔軟性が求められます。
ジャズのセッションでは、テーマやコード進行といった「共有の枠組み」の元、インプロビゼーション(即興)が求められます。パーソネルとの緊張感が感性と悟性に裏打ちされた無意識層からの叡智を紡ぎ出します。
「オープンダイアローグ」でのワークショップでも、初対面の人とのコミュニケーションに、身構えはあると思います。
ジャズによるオープンダイアローグでは、ジャズ鑑賞後に行うことで、参加者全員の感性と悟性が純化されており、邪な感情がなく、柔和質直になっており、参加者全員がお互いを認め合う気持ちが育まれます。
自閉症の方や統合失調症の方等、対話相手とコミュニケーションがとれにくい方もおります。そのような方にオープンダイアローグ自体抵抗があることと思われ、フィンランドでのワークショップでも参加していただくまで、並大抵のことではないと察しられます。今日、ジャズは全世界に行き渡っており、ドイツ等でもジャズによる精神療法は認知れております。ワークショップに入る前に参加者全員でジャズ鑑賞をしてのワークショップ参加はリレーション可能と思われます。
日本にオープンダイアローグを導入された斎藤環氏(精神科医・筑波大学教授)は、「まるでジャズのアドリブのようだ」と仰っております。さらに、ジャズの即興演奏について「トレーニングされた自由」という表現を紹介されております。
演奏者の卓越した技術とセンスがあってはじめて成り立つジャズのアドリブとオープンダイアローグの開かれた対話に必要となる訓練された専門性を重ねた表現だと思う。
但し、斎藤氏は、ジャズのインプロビゼーションとアドリブを的確に捉えていないことが惜しまれます。台本あっての即興をアドリブといい。意図的や偶然の対処です。方や、ジャズのインプロビゼーションは譜面無しの即興演奏をいいます。
叉、センスやトレーニングされた技術と専門性と述べておりますが当研究所の立ち位置から、ジャズ演奏家はトレーニング以前の絶対音感の素養プラス境涯の高さが求められます。
当研究所のジャズによるオープンダイアローグでは、専門性は求めません。旧来のカウンセラーとクライアントといった主従関係に陥ることに繋がりかねないと考えます。
そんな渦中誕生したのが、ファシリティターといった進行役のみのカールロジャース等によるエンカウンターです。当研究所では参加者全員ジャズ鑑賞をすることで同じ土俵に立つとの考えが基本にあります。
ジャズの名盤鑑賞会も、ジャズとの対話と考えております。
ジャズのスピリッツは、耳から、叉、身体の細胞隅々まで波動は伝わります。
手始めはジャズCD鑑賞会をお勧めします。
生バンドによるジャムセッションでは、演奏家が、その空間の波動を感じ取ります。鑑賞者もエモーショナルになるでしょう。そのインターバルが正に対話しているといっていいでしょう。
①ジャズCD鑑賞。大音量で鑑賞可能なスペースで、ジャズの聖者といわれる殉教者ジョン・コルトレーンの代表作20アルバムから二枚を選出、解説の後に鑑賞します。コルトレーンの啓示の洗礼の後には、日を改め、統合失調症当事者にはマイルスディビスや鬱病当事者のかたにはビルエバンス等、最適なアーチストのCDを鑑賞して頂きます。それぞれの疾患を超克したジャズ演奏家の琴線に触れることで、当事者はもとより家族にも快癒の変化に気付かされます。
②フリージャズによるジャムセッションを小規模なリハーサルルーム等、ピアノが設置された施設での大音量で生の波動を体験します。CD鑑賞との違いは、鑑賞に参加した当事者やご家族の疾患や苦悩を演奏者が受け入れ、場の波動によるエモーショナルな演奏を実感できます。正に同苦からの昇華といえます。
ジャムセッションは当事者も素のままで参加出来ることです。クラッシック演奏会のように周囲の観客に気遣うことがありません。
ジョン・コルトレーン選曲 1 | A Love Supreme KULU SE MAMA MY FAVORITE THINGS GIANT STEPS AFRICA BRASS BLUTRIN BaIIdds |
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ジョン・コルトレーン選曲 2 | OIe OM TRANSITON |
ジョン・コルトレーン選曲 3 | SOUL TRANE PRESTIGE |
ジョン・コルトレーン選曲 4 | MEDITAATONS EXPRESSION CRESCENT A scension |
かねこ よしのぶ
利き酒ならぬ、「聴きジャズ」60年のジャズ鑑賞歴。
人生に苦悶していた15~16歳頃、偶然ラジオから流れてきた初めて耳にしたジョンコルトレーンジャズに衝撃を覚え、当時、川崎にあったジャズ喫茶「オレオ」に自転車で日参した。一年通ううちに生きる希望が湧いてきた。「この音楽は何なんだ!」公民権運動の渦中にあった黒人関連の本を読み漁り、ジャズが理不尽で不条理からの昇華の芸術と確信した。同時期、先住民・インディオの苦渋を知る。ジャズは六根を清浄する実感を体験し、絶望や悩乱からの解放となった。
縄文ジャズ療法研究所主宰。
上智大学トーマス・インモース教授ゼミでユング心理学を学ぶ。
JADP認定メンタル心理カウンセラーⓇ
元、日本ユングクラブ会員/ 元、日本臨床心理学会会員
元、現代ジャズ学研究所代表
日本音楽療法学会会員/ 国際縄文学協会会員